「あーーーーっ!!!やっと終わった!!」
あれから何時間たったのか。
ずっとパソコンと向き合って、やっとのことでできあがった。
これで納期に間に合う。
明日からもたくさん仕事させよう。
俺が甘やかしてる気がするし。
心を鬼にして、うんうん。
勝手に納得して、月希を見るともうすでに帰る支度を終わらせている。
鞄も持って、準備万端だ。
「すぐ帰るの?」
「あぁ、6時前だしな。俺には用があんの」
「送ろうか?」
「いや、いい。プライベートなんでな。それじゃ、明日もよろしく」
そういい残して社長室を出ていった。
……気になる。
めちゃくちゃ気になる。
絶対女だろ。
俺はバレないように車で後をつけた。
ショッピングモールを抜け、ホテルを抜け、住宅街にさしかかる。
そして、ある一軒のアパートの前で車をとめた。
どこにでもあるような普通の家。
ここに彼女が住んでるとか?
路地の影からひっそりと覗いていると、中から女性が出たきた。
その女の人に俺は驚きが隠せなかった。
「に……ぃ…?」
あの頃よりも少し髪が伸びた愛しい人の姿。
何も、何も変わらない。
でも……なんで月希と笑ってるんだよ…?
すると、月希とにぃはそのまま家の中へ消えた。