狩那緋side


「ふう……」

乾いた目に目薬をさす。

かれこれ5時間はパソコンとにらめっこ。

さすがに目と肩が痛い。

本来俺がやるはずではない仕事。

それをやっているのは隣の男のせいだ。

そう、Venusの現社長である神崎 月希のせい。

眠たいからと仕事を丸投げ。

あとで覚えてろよ。

とりあえず、早くやらないと納期が過ぎるし。

今は何も考えずにやらないとな。

ふとカレンダーを見る。

……あれから7ヶ月もたったんだな。

にぃ、ちゃんとご飯食べてるかな。

笑顔でいるかな。

……幸せに、なったのかな。

そんな考えを拭い、仕事に集中する。

早く一人前になって、にぃを迎える。

せめて、会う資格がほしいんだ。

会って、話がしたい。

「月希、そろそろ起きる時間だよ」

「……無理、寝る」

ソファで寝返りをうって、また眠りにつこうとする。

「納期すぎるんだけど。会社の信用性に関わるんだよ?」

「……いま何時だ?」

「ちょうど午後3時」

「6時までに終わらせる」

急にやる気を出して、パソコンに向かう。

なんなの、この変わりよう。

「なに、女でもできたの?」

「別に?ちょっと用があってな」

ニヤリと笑う月希に、何かあると感じた。

一体なに企んでんだろ。

まぁ、今は仕事が優先か。

俺もパソコンへ向かい、仕事を進める。