狩那緋side

今、1年ぐらい前から付き合ってた

大切な彼女にフラれた。

高校の時からずっと好きで。

でも俺はヘタレだから告白する勇気がなかった。

だから告白できずに卒業した。

卒業して大学に入った。

久々に高校に行くことになって、

高校時代からモテモテだったにぃは

もう彼氏がいるんだろうな、とか考えてた。

けど彼氏はいなくて。

今しかないと思った。

だから告白して付き合った。

大切すぎて手を繋ぐこともできなかった。

恥ずかしくて、照れくさくて。

だから、ヘラヘラ笑うことにした。

そしたらごまかせるから。

でも俺も健全な男で。

そりゃ我慢してるから吐き出したいわけで。

このまま我慢してるといつかにぃを

傷付けかねないと思い、他の女と体を重ねた。

それが浮気の始まり。

最初の頃はただの処理だった。

けどにぃが浮気に気づいて

やめるようにいってきた。

この時の顔があまりにも可愛くて、

もっと嫉妬してほしいと思った。

だんだんにぃが口出ししなくなって、

不安になった。

にぃは俺のこと好きじゃないんじゃないかって。

だからもっと浮気した。

わかりやすいようにオープンにした。

でもにぃは何もいわない。

それどころか笑うだけ。

いつしか感覚が麻痺して、浮気をたくさんするようになった。

にぃを苦しめてるとも知らずに。

「にぃ……どこ行ったの……?」

不安で不安で足が動かなかった。

追いかけたくても足が重かった。