「カナちゃんにとって私は彼女なんかじゃないでしょ!?ただの家政婦でしょ!?」

「家政婦…?」

「そうだよ!!カナちゃんが呼んでくれるから……嬉しくて毎回この家に来るの!でも、それはすぐに打ち砕かれる!!ご飯作って、掃除して……大好きな彼が浮気するのも止めれやしない!!」

「にぃ………」

「大切なのに……だから見てほしいのにっ!!何でカナちゃんは私を見てくれないの!?何で私以外に無防備なの!?なんでっ…!」

「ねぇ、にぃ…話を……」

「話なんか聞きたくない!!ねぇ、カナちゃん…何で私なの……?」

「え……?」

「何で私に告白なんかしたの…?告白なんかしなかったら…私……こんなに辛い思いしなかった!!カナちゃんが浮気やめてくれたらって…どれだけ願ったか!!

カナちゃん、今日が何の日だか…わかる?」


「え……?どういう……」

「わかんないよね。わかるはずないよ。
だから私、考えたの」

「やだ、いわないで」

「カナちゃん」

「いわないでってば」

「別れよう」

そういってカナちゃん家を出た。

少し歩いて後ろを振り向いても……

カナちゃんはいなかった。

「あはは……。やっぱり偽物じゃん……」

偽物の愛だったんだね。

好きだよって笑ってくれたあの笑顔も。

大好きっていってくれたあの言葉も。

料理おいしいっていってくれたことも。

何もかもが……嘘だったんだね。

私を飼い慣らすためのただの餌だったんだ。

甘い蜜で私を飼い慣らしてたんだ。

気づかなかった。

やっと、辛い思いしなくて済むんだね。

「ふっ……うぅっ……あぁっ…!!」

私は路地裏で声をあげて泣いた。

辛くて、辛くて、辛くて。

とても息苦しくて。

カナちゃん……さよなら。