「ふー、やっと運び終わったー!」
額に伝う汗をぬぐって、床に座り込む。
「疲れたわねぇ…」
「荷物多すぎ…」
私の横に静歩とチカさんが座る。
「引っ越しの手伝いしてくれて、ありがとっ!」
「ううん、いいんだよー!妊婦さんに重い荷物持たせるわけにもいかないでしょ?」
「そうよ。あ、並べたりするのも手伝う?」
「いえ、それは自分でやります!」
「そう?しかし、この街もいい街ねぇ!」
ベランダに出て、外を眺めるチカさん。
私はあの後、すぐに荷物をまとめて元いた街から一番離れた遠い街に引っ越した。
ここは空気も澄んでて、住みやすそうだったから。
思った通り、空気は綺麗だし子育てには最適な街。
緑もたくさんあって自然に囲まれてる。
「片付けあるだろうし、私たちはもう行くね」
「あっ、うん!今日はありがとう。気をつけて!」
「うん!」
「約束、守ってね?」
「わかってるわ。ねぇ、静歩ちゃん?」
「うん。それじゃ、またね二コ!」
そういって家を出て行った。
約束っていうのはカナちゃんに何もいわないって約束。
絶対にバレたくない。
迷惑かけちゃうし、何より自由でいてほしい。
せめてこの子が大きくなるまでは…ね。
「あとどれくらいで生まれるかなぁ?」