「当たり前だろう。俺は社長に就任したんだから明日から仕事だし、秘書がいなければ何も始まらん。第一、仕事に慣れなければいけないだろ」

「そりゃそうだけど…」

「なら文句いわずに来いよ。あ、そうだ。祝杯あげるか」

「は?」

何を言い出すかと思えば祝杯?

何を考えてるんだか…。

「おい、鈴木。俺、抜けるから。ほら、行くぞ」

「え、ちょ、月希様!?」

鈴木って人に会釈をして、前を歩くるの後ろを追いかけた。

「ったく、ほんと月希は自由奔放だなー」

「それの何が問題だ?どうせお前は俺の秘書だ。ワガママいうのは秘書だけにすると決めてる」

「うわー。それって俺にはワガママいいますよっていう発言?」

「なんだかんだ無理を聞いてもらってるしな」

「俺じゃなかったら今頃訴えられてるからね?」

「はいはい。あ、そこの店でいいか?」

そういって指さす店を見ると、ため息が出てきた。

なんてったってそこはめちゃくちゃ有名な店だったから。

「さすが。月希が好きそうな店だわ」

「ここの飯、結構うまいし。行くぞ」

「はいはい…」

レストラン内はめちゃくちゃ広くて、場違いだなーとか思った。

あー、場違いなのは俺だけか。

「これはこれは、月希様じゃないですか!社長就任おめでとうございます!」

「あんま騒がれたくないんだよね。できるだけ遠い席、ない?」

「ございますとも!こちらです、案内致します!」

テンション高いなぁ、この人。

有名人に媚び売るタイプか。

「こちらの方は?」