「知ってるわけ……ないよね」
誕生日も記念日すら書かれてないなんてね。
どんだけ可哀想なの、私。
自嘲気味に笑ってカレンダーに書き込んだ。
「よし、これいいや!」
ペンをテーブルにおき、料理を始めた。
今日は唐揚げと卵焼きとハンバーグ。
全てカナちゃんの好物。
だって、今日は私とカナちゃんの大切な日。
どうせ、カナちゃんはわかんないだろうね。
料理が出来上がった頃にカナちゃんが帰ってきた。
「あ…おかえり!」
「ただいま!あれ、家帰ってなかったの?」
「うん。掃除、案外時間かかってさ!ついでに夜ご飯も作って帰ろうと思って!」
「そっか!ありがとー、にぃ!」
「ううん!あ、あのさ……カナちゃん?」
「んー?」
「………ねぇ、カナちゃん。このピアス…誰の…?」
ハートのピアスを見せながらいった。
「あ、それチカちゃんのじゃーんっ!そこに置いてて!」
“チカちゃん”
それは…彼女?
それとも浮気相手?
もう……わかんないよ。
ご飯を美味しそうに頬張ってるカナちゃんに話しかけた。
「ねぇ、カナちゃん」
「んー?なあにー、にぃ?」
「カナちゃんにとって、私って……なに?」
「え、何って彼女でしょ?」
ご飯を食べるのをやめ、こちらを見るカナちゃん。
「じゃあカナちゃんは、彼女がいるのに他の子のところに行くの?」
「………にぃ?」
「浮気はやめて、っていったのに……聞いてくれないの?」
「どしたの?にぃ?今日おかしいよ?」
そういって手を伸ばしてきた。
パシンッ
「………触らないでっ!!」
抑えてた涙が溢れ出してくる。
「にぃ……?」
「何で……?何でカナちゃんはいつもそうなの!?」
部屋に響くほどの声で怒鳴る。
「カナちゃんは私じゃ不満なの!?物足りない!?じゃあなんで私と付き合ってるの!?」
「にぃ、落ち着いて……」