ガチャッ
「ただいまー!」
私は下に降りて、リビングへと向かう。
「おかえり、お母さん!」
「あら、帰ってたのね。そういえば靴がひとつ多いけど…お客さん?」
「………カナちゃん」
「そう。どうかしたの?」
「へ?あ、熱が出て道端で倒れたから…」
「まぁ、それは大変!ちゃんと看病してる?」
「それはもちろん!」
「そう。今は寝てるの?」
「うん、ついさっき寝たところ」
「じゃあ、夕飯の支度しておきましょうか!」
「そうだね!」
私とお母さんでご飯を作った。
一応、カナちゃんが食べやすいように雑炊も。
私は、今日だけはカナちゃんに優しく接しようと決めた。
もう会えなくなるから。
最後くらい、いいよね。
「じゃ、カナちゃん呼んでこよ」
私は自室へ向かった。
ガチャッ
「あ、にぃ」
「起きてたんだね。熱測った?」
「まだ… 」
「じゃあ今測って。下がってるといいけど…」
そういって体温計を渡した。
ピピッ ピピッ
「37.2……微熱だね。とりあえず下がってるね。ご飯、食べれそう?」
「あ、うん」
「じゃ、下行こっか!」
カナちゃんと一緒に下に降りた。
「あ、狩那緋くん!熱はどう?」
「え、あ、大丈夫です…」
「あら、それはよかったわぁ!ほら、座って座って?ご飯の用意、できてるわよ♪」
「あ、ありがとうございます…」
「よし、それじゃあいただきます!」
私はなるべく明るい声でいった。
怪しがられないように。
「あ、もしかして…この雑炊、にぃが作った?」
「え、うん?そうだよ?」
「やっぱり…!久しぶりだなぁ…」
そういって緩みきった顔で笑う。
………やっぱり好きなんだなぁ…。
でも、これ以上迷惑かけたくない。
こんなに大切な人を…これ以上傷つけたくない。