「どうぞ、コーヒーです!ごゆっくりどうぞ!」
俺はコーヒーを一口飲んだ。
「それで、話って?大事なこと?」
「……虹恋ちゃんのこと、本気で好き?」
「当たり前でしょ。だからチカちゃんに協力してもらって、色々アドバイスもらってるんでしょ?」
「そうね。じゃあ…なにか覚えてる?」
「なにか?」
「虹恋ちゃんに何か悪いことした、とか」
「悪いこと?んー…浮気ぐらいじゃない?」
「……そう」
「なに?どしたの?」
「いいえ、別に…。じゃあ、最後に聞くわ。虹恋ちゃんと、家族を築きたい?」
「もちろん!!」
「なら、いいわ。いうつもりはないけれど。話はこれだけよ。それじゃ」
お金を置いて、カフェを出て行くチカちゃん。
「ちょ、チカちゃん?」
何だったんだろ?
「ま、いいや。早く帰ろ……」
俺は急ぎ足で家へ帰った。
「ふー、寒い寒い…。やっぱ最近は冷えるなぁ…」
テレビをつけて、眺める。
「あ、ご飯まだだったわ」
冷蔵庫を見ても、何もない。
いつもはにぃが買い置きしてくれてた。
そんで、いつもご飯作ってくれてた。
今更、その温かさに気づいた。
「寒いなぁ……」
いつも通り、カップ麺にお湯を注ぎ、3分待つ。
最近はカップ麺を食べてる。
女の子とは手を切ったし、作る気力もない。
「にぃ、今頃何してんのかなぁ…」
俺はのんきにしていた。
こうしている間にも、にぃは自分の人生を左右する、
大きな決断を下していたのに。