「佐藤さんから誘うなんて珍しいね」
「ダメだった?」
「ううん。すっごい嬉しい」
鈴木くんは剥き出しになった鎖骨にキスをすると、早速服を脱がせにかかった。
さっきまで怒っていたというのに、もう機嫌が直っている。
世の中の恋人達もきっとこんな風に仲直りしているのね。
「今日は手加減できないかも」
……手加減なんてしたことないくせに。
いつも、それこそ獣のように私がへとへとになるまで思う存分するじゃない。
でも、今日は許してあげる。
邪魔な瓶底眼鏡を外してサイドボードに置くと、そっと顔を手で包み込む。
「目を瞑って」
よく考えたら、自分からキスをするのは初めてだ。
ただでさえドキドキするのに、眼鏡を外した鈴木くんの顔って本当に綺麗で嫌になる。
えいっと気合を入れて唇を押し当てると、導かれるように口づけが深いものに変わっていった。
あっという間に主導権を握られてしまう。
……あとは、鈴木くんのお気に召すまま組み敷かれるのみだ。