「お願い……嫌いにならないで」
私は鈴木くんに嫌われることが何より怖かった。
「酷いの私……。鈴木くんが嘘をついているんじゃないかって疑ってしまうの」
鈴木くんのことを信じようとすればするほど苦しくなった。
このまま捨てられちゃうんだって思うと怖くなって、関谷さんのことを聞けなくなった。
こんな気持ち、今まで知らなかった。
「佐藤さん?」
不安で不安でたまらないの。
この幸せはいつか消えてしまうの?
「ねえ……」
鈴木くんの着ていたジャージの裾をぎゅっとつまむ。決して私の元から離れていかないように。
「今から鈴木くんの家に行っても良い?」
ねだるように上目遣いで見上げれば、鈴木くんが息を呑んだのが分かった。
……今は言葉よりも、もっと確かなものが欲しい。