……違う。

鈴木くんが私に関谷さんのことをわざわざ言う必要なんてない。

聞かれてもいないのに弁解するなんて、そっちの方がおかしい。

こんなのただの八つ当たりだ。

(私は鈴木くんにどうして欲しいのかしら……)

関谷さんと口をきかないで欲しいの?

それとも、いちいち行動を把握していないと気が済まないの?

子供じみたわがままを口にしたところで、それは無理な話だということは分かっているのに。

鈴木くんに向けた理不尽な怒りは収まらない。

「お前ら、喧嘩なら外でやれよ」

樹がたまりかねた様子で、玄関を指差す。

不穏な空気を察した弟妹達が心配そうにこちらを見ていたことに、私はようやく気が付いたのだった。