「俺のこと避けているでしょ」

いつもと同じ我が家のリビング。ゲームで遊んでいるのは陽と恵だ。

樹は携帯をいじっているし、早苗は風呂上がりのひろむの頭をタオルでわしわしと拭いていた。

隣に座った鈴木くんはニコリともしてくれない。

こんなに怖い顔をしている鈴木くんを見るのは初めてだった。

「避けてないわ」

笑って誤魔化そうとするけれど、鈴木くんがそんな手に引っ掛かるわけがない。

彼は百戦錬磨の営業マンだ。

相手が真実を言っているか、言っていないかなど直ぐに勘付いてしまう。

「絶対、避けてる」

「だから避けてないって」

……自分だって関谷さんのことを黙っているくせに。

思わず言い返しそうになって堪える。