それからというもの、私は意識的に鈴木くんを避けた。

会社でも家でも極力、必要最低限の会話しかしないように努めた。

幸いなことに、もともと会社で互いの顔を見る機会は少なかったし、家ではひろむと双子に鈴木くんの相手を任せてしまえば良かった。

自分がやっていることは、なんの意味も成さないことは分かっている。

それでも、やめられなかった。

……きっと、嫌われてしまうから。

目と耳を塞いで、ドロっと溢れた黒い物が消えるのをひたすら願っていた。

あんなこと大したことないって、笑い飛ばせる日がやってくることを望んだ。

私の気持ちとは裏腹に、その日が訪れる気配は一向になかった。

そして、とうとう鈴木くんに問い詰められてしまう。