奈々の言葉で、自分の失言に気づいてしまった。アルコールのせいだろうか、今まで誰にも話したことのなかった事実をしゃべってしまった。


ただ、後悔をしてももう遅くて、どう頑張っても言ってしまった言葉を回収することは出来ない。


「確かこの時、私と亜美、それに体育科のメンバーしか居なかった記憶があるけど。なんで、当時から知っているのかな?ね、教えてよ」


こいつ……絶対に分かった上で聞いてるな。


当時、俺の気持ちを知っているのは奈々くらいだから。後から亜美には話をしたけれど、この日の事は話していない。


情けない話だったから、亜美には知られたくなかったのにな。もうこの状況からは逃げられそうにない。


他のメンバーの顔を見回すと、一人残らず俺の言葉を待っているようだった。家に帰って聞けばいいのに、亜美も一緒に。


「知りたい?」


苦笑を浮かべながら尋ねると、全員が同時に大きく頭を縦に振った。


仕方がない、白状しようかな。お酒の力か、いつもより心の内が話しやすい気がする。