その人は、岩村聖人。
私のことが好きって、一時期言っていたけど・・・。
「実稀ってば、実稀」
「あっ、ごめん」
「もうどうしたのよ!隣のクラスの、えっと…賢史くんって言ってたかな?実稀呼んでって言ってきたからさ」
「あ、うん、今行ってくるよ」
「モテモテも大変ですね」
と冷やかすように言う桃香。
「うざいよ」
と言い残して男の子のところへ行った。
「実稀ちゃんだよね?」
「うん。何かよう?」
「今、屋上で待ってるって聖人が言ってたから...」
「ま、聖人が?」
「うん」
「ありがとう」
私は胸を踊らせて屋上に向かった。