「ところでさ、名前何て言うの?」
少年は私に聞いてくる。
「水沢 香菜です。」
「水沢さん?」
少年はそう言ってまた紅茶を飲む。
「貴方は何て言うの?」
「俺?俺は片倉 未稀」
「ミキ?」
「ああ女みたいだろ」
そう言って片倉くんは今度は私の方を見て笑う。
私もつられて笑う。
「なあ水沢さん、ピアノ聞きたい?」
片倉くんはぽつりと言った。
「えっ……いいの?」
「うん、いいよ。あっ、だだこれからは外で立ち聞きとか止めろよ。怪しい人だと思われるからな」
片倉くんはそう言って私を自分の部屋へと招いてくれた。