「アリス、何だか急いで駆け込んで来たけど、どうしたの――」


自分のアリス観を悟られぬよう、訊いた――。


「ほら、近くのコンビニにプレミアムロールケーキ―ジンギスカンクリーム味が、期間限定で売ってるでしょ――」


「あ、あぁ、あれね――」


眉をピクつかせ戸惑うりおん――。


興味本意で買ってみたものの、一口食べて速攻で生ゴミに出した忌まわしいスイーツ――。


あの得体の知れないクリームの味と風味が、りおんの内部で騒ぐ――。


「いやぁアリス、ハマっちゃってさぁ、あの毒々しい味に――」


「そうなんだ、あはは――」


「これからちょっと忙しくなるから、買いだめしようと思ったら途中で財布を忘れたのに気づいて、急いでマンションに戻ったらグッドタイミングで高層階エレベーターにりおんちゃんが乗るのが見えたから、これを逃したらしばらく降りて来ないなって考えたら――えへへ――」


「それは良かったね――」


「いやぁ本当だよぅ――まさかアイドルが万引きする訳にもいかないし――」


「そんな事、人として駄目だよっ――」


初めて本気でアリスを諭すりおん――。