そうして醸造され奏でられる四重奏――。


りおんはその聴衆でしかない――。


下手に「演奏」に加われば、美しい演奏は無となる――。


そこに「雑音」が干渉してはいけない――。




「リンスロット、そろそろ仕上げに――」


数千いや数万はあったキューブタイプをローグと粗方片付け、コステリッツの防御シールドで「やる気」が失われたウェーブタイプを眺め、アンテロッティはリンスロットに「演奏」のフィナーレのソロパートを託す――。


粗方片付けたダークエネルギーの残骸とはいえ、りおんが壊滅した規模の数倍はあろうかという脅威にリンスロットは独り演奏を奏でる――。


「わかりましたわ――シルフィ、あの規模でしたら出力50パーセントで問題ありませんわね――」


「はい、マスター――」


「では、参りますわよ――」


シルフィを天頂に掲げ「旋律」を舞うリンスロット――。


美しい旋律に吸い寄せられ、シルフィの先端に集積する、宇宙空間に漂う目には見えないエナジー――。


虹色に輝き、膨張してゆく宇宙の意思――りおんは煌めくそれに見惚れ、一瞬意識が曖昧になる――。


だが、煌めく旋律も、リンスロットの能力の半分に過ぎない――。