「さっさと終わらせようかね――」
この「程度」の攻撃が、コステリッツのシールドに通用する訳がない――。
余裕の心情を見せるアンテロッティが弓を引き、輝く矢を放つ――。
矢は途中で数百にも枝分かれし、集積したキューブと周りで浮遊、反撃態勢に発光していたキューブらを高速で貫く――。
貫かれたキューブは「成仏」したかの様に蒸発、消えてゆく――。
「りおん、ちょっと肩貸してね――」
いつの間にかりおんの背後に回ったローグが淑やかに言い、佇まいに似合わないライフルの長い砲身を肩に載せる――。
重力のないこの空間で、りおんの躰が僅かに沈む――。
「少し、右に――」
「あっ、うん――」
微かに意識をローグの言う方向に向けるりおん――。
同時に開始されるローグの連続射撃――。
正確無比の射撃――消滅してゆくキューブ達――。
「今度は左ね――」
淀みなく射撃は続く――これまでひとつも的を外していないローグ――。
りおんの目の前で煌めく閃光、血液を踊らす音、肉を焦がす熱、魂を揺さぶる振動――。
ウェーブタイプのダークエネルギーから、怨みにも似た夥しい黒い触手がりおん達に向かう――。