「そうなんだ――わたし、その、ヨーロッパの事情とかよくわからなくて――ごめんなさい――」
縮こまるりおん――。
「いやいや、落ち込まなくていいよりおん――あぁ言ったけど、大人達が過剰に気にしてるだけだから――魔法少女の増減なんて珍しくもないのに――」
「でもアンテ、ロナール家が過剰な反応の中心だから――」
「それで、リンスロットや私達に重圧が――」
「それが下らないって言うんだよ、ローグ、コステ――」
ローグとコステリッツの懸念にアンテロッティは声を荒げたが、りおんを置き去りにすまいとこれまでも散々繰り返してきた議論を強制終了し、息を吐き、自分を取り戻す――。
「関係ないよ――大人達の勝手な事情なんて――文句があるならお前らがダークエネルギーを壊滅してみろってんだよ――何も出来ないくせに――」
「そうだろ――ローグ、コステ――りおん――」
生ぬるい空気の気流にアンテロッティの声が乗り、射し込む夕日に彼女の青い眼、ローグの髪、コステリッツの無垢な瞳が煌めき、妖艶さを纏いりおんに迫る――。
同じ少女が燻し出す「悲哀」な気を嗅ぎ、見つめられたりおんの感覚器官は「快」の方向に振れた――。