敵に対し、背中を見せる――。


普段のリンスロットでは、あり得ない醜態――。


それだけ、冷静さを失い、自身の未熟さに落胆し、スーパーダークエネルギーに「真」の恐怖を感じたのだろう――。




「広範囲防御シールド最大出力展開っ、ステッキさんっ――」


「うむっ――」


もう虫の息のリンスロットを抱き寄せたりおんは、左手一本でシールドを最大展開させた――。


「うぐっ――」


尋常ではない威力のレーザーと、りおんのシールドの攻防が続く――。


「り、りおんっ――」


「弱気になっちゃ駄目だよステッキさんっ――シールド出力っ、オーバーロードっ――」


「わかったりおん――限界突破――」



「うぐぐぅぅ――弾けぇぇぇぇっ――」


一か八かで、レーザーを振り払うりおん――幸いにも賭けは成功し、弾かれたレーザーは、宇宙の彼方へ消えてゆく――。


広範囲防御シールドは、正常に機能し、後方に漂う、アンテロッティ、ローグ、コステリッツや他の魔法少女達、そして地球に被害はない――。



だが、次は――ない――。


直感的にりおんは感じ、体が一瞬、震えた――。


現に、スーパーダークエネルギーからは、次のレーザー照射を伺わせる「仕草」が見える――。



「わかってるよステッキさん――恐らくこれは防げないよね――」


たった一度の防御で、ぼろぼろのコスチューム姿になったりおんが、悟り、言う――。


一点照射だった先のレーザー攻撃を「進化」させて、複数方向から、その念を発光し照準を定め、スーパーダークエネルギーがりおんを狙う――。



輝きを増す照射口――。



「りおん――」





「ちくしょう――」





「ちくしょうぅっ――」








「ちくしょーーーーーーぅうっ――」



年端もいかない魔法少女、りおんの絶望なる表情と叫びが、寒々しい宇宙空間に木霊する――――。