「よく覚えておけ――これが必殺、主人公補正モードの威力だ――」


ステッキさんが、シルフィとハンセンに、抗えない定めの如く語りかけた――。


「そんなデタラメな――」


「やりやがったな――まぁ、らしいがな――しかし、奴らが黙っちゃいないぜ――」


怒りをも含ませた想いと、腑に落ちた物言い――。


「ふっ――」


得意気にステッキさんは笑う――。




「それとお二人さん、そもそもなんだけど――」


今の二人に、りおんの問いかけに反応する余裕はない――。


「目玉焼きには醤油、塩コショウ――ったく邪道だっつうの――」


「いいですかぁ、目玉焼きには、目玉焼きにはさぁ――」


りおんの念が融解し、高熱の躰が叫ぶ――。


「ケチャップとマヨネーズのミックスでしょうがぁーーっ――」


輝きを増したハレーション弾が熱を受け、更に膨張して二人を追い込んでゆく――。


『そ、そうなんですかぁ――』


それが、遺言の様に意思を揃えたリンスロットとキャサリンは遂に防御能力の限界に達して、吹き飛ばされてゆく――。




『ああっ――――』


インターナショナルクラスに蠢き、木霊する驚愕の声と、戦慄の「ガイナックス顔」のクラスメイト達――。



「エ、エヴァ、いや――二人は――」


時が止まった教室の中、止まった時計のゼンマイを丁寧にまく様に、アンテロッティは言葉を空気に乗せた――。