「久しいな、月下美人――ひばりがお前を継承したか――」
何もかも、わかった口振りで黄昏るステッキさん――。
「りおん――ふふっ、そうか、あの女の――――」
「そうだ――」
「ってか、今も昔も、正式名称で呼ばれないなんて、あんたも虐げられてるわねぇ――」
「それが私の定めなのだ――古い名など、もう忘れてしまったさ――」
「キザったらしい――まぁいいわ――んで、りおんちゃんは使えるんだろうね――」
月下美人が、厳しく問う――。
ステッキさんと月下美人との会話は、互いの意識を介して成立している為、りおんやひばりには聞こえていない――。
「確かにりおんは適当だが、その力を見くびらない方がいいぞ――」
りおんの「潜在能力」を感じ、信じるステッキさんが、魂を込めて言った――。
「ほぉぅ、自信があるんだねぇ――それじゃぁ、これからじっくりと品定めさせてもらいますか――」
口悪い表現で総括する月下美人だが、「彼」が確信し契約したりおんに、あの女の佇まいを重ねて、時の流れを懐かしみ、楽しんでいる想いが、僅かに語尾に含まれ、流れる――。
想いを解析したステッキさんは、黙って「口元」を緩めた――。