故に、彼女の「見越した」気遣いが嬉しい――。



「はぁ、ホント助かるよぉ――えっと――」


「あらあら、私とした事が――」


「私は、ひばり――と申します――」


「これから、よろしくお願いします――」


「――――」


動揺するりおん――。


「ひ、ひばり――」


「りおんさん、どうしたの――」


ひばりが、りおんに接近する――。


拒絶し、座ったまま後退りするりおん――。



「はぁああっ――」



「りおんさん――」


「ま、まさか全国の裏番長の連合組織、全中裏――その総帥のひばり様なのですか――」


顔面蒼白のりおん――「はっ」と何かを感じ、教室内を見回す――。


「腹心の春日(かすが)は何処っ――裏番十人衆はっ――」


恐れおののくりおん――。


「りおんさん、落ち着いて下さい――その、何とか組織の全中裏(ぜんちゅううら)の私は総帥でも何でもありませんよ――」


「老舗和菓子屋の跡取り娘ですから――」



「う、嘘だよっ――偽りの笑顔でわたしを騙して、蘭塾(らんじゅく)へ収容しようと無理矢理この学院に――」


全てを悟ったりおん――。