これまでの歴史上、スーパーダークエネルギーを葬り去る手段は、一通りしかない――。
その責務を果たすのは、最強魔法少女の称号を与えられた者であり、成し遂げた少女は伝説となる――。
しかし、魔法少女誕生史上、最強と謳われるエレノアには「それ」を踏襲しなくともスーパーダークエネルギーを「容易く」葬り、平穏な日常を紡ぎ続けられる――などと都合の良い妄想を監理局、魔法少女達、そしてエレノア自身さえも心の何処かで思っていたのかもしれない――。
静まる宇宙――。
時が来た――。
ひとり前に出て、魔法少女達の期待、誇り、人類の存亡、渦巻く大人達の思惑を小さな背中に感じ、エレノアはスーパーダークエネルギーに相対する――。
善と悪の「視線」が交錯し、時だけが刻まれてゆく――。
ある魔法少女は後に監理局にこう表現した――。
「スーパーダークエネルギーと親しげに対話している様に見えた――」
別の少女は――
「エレノアが恐れ、可憐な躰が硬直し、戦う意思が消え失せている様だった――」と証言――。
対話と喪失――。
食い違う景色――。
監理局、大人達には理解不能な見解――。
だが、研ぎ澄まされた少女らの「同性」を「分析」する瞳と思考は真理を見通す――。