8歳にして、ダークエネルギー壊滅戦に加わり、攻撃力、防御能力は既に他の魔法少女達のそれを遥かに凌いでいた――。
この時代、監理局本部はフランス―パリにあり、キャサリン、ドロシー、ひばり、りおんの「覚醒」を待つ北中米、南米、アジア、オセアニア陣営は魔法少女氷河期に入っていた――。
エレノアの圧倒的能力――妹リンスロットの「担保」――。
富、名声、名誉――――全ては欧州にあり――。
裏社会の「傲慢」は、表世界に染み出し、勢いを増す――。
程なくプラチナスターに昇格したエレノアは常に先頭に立ち、戦った――。
家の為――リンスロットの為――友人、共に戦う魔法少女達の為――何も知らない世界の人々の為――。
そして――自らの存在の裏で「薄汚く巧妙」に世界を支配する大人達の為に――。
連戦連勝――。
負けるという概念など存在すらしない――。
エレノア15歳――リンスロットが3歳に成長し、か弱い自我を垣間見せる寒かったその日――。
終焉と希望が交差する――。
意外にも日本で好きになったもの――。
乳白色に満ちたバスタブに、官能的でしなやかな躰を滑り込ませるエレノア――。
イギリスでは、シャワーで済ませていた「洗浄行為」――。
通過儀礼が「癒し」に変わる――。
日本の温泉地の入浴剤を日替わりで入れた湯船に浸かるこの空間が、エレノアをエレノアたらしめる唯一の時間――。
「はぁ――――」
後ろ向きでない、解れた声――。
いとおしく躰を擦り、魂を「快」の方向へ誘う――。
適度な温度と湿気、香りを漂わす湯気――。
癒されてゆく魂――。
しかし「快」と「苦痛」は表裏一体――。
ぼんやりと天井を眺め、魂の快楽を楽しむエレノアの自我と瞼はゆっくりと閉じてゆき、拭えないあの日の「真実」を深層自我で再生してゆく――。