「どうかしら、りおんさん――このクラスの雰囲気に少しは馴染んだかしら――」
最後列、転校生定番の指定席で、あれよあれよと昼休みを迎えたりおんに、窓側の席に陣取る大和撫子を彷彿させる「女性」が丁寧に語りかけた――。
「いやぁ、急な転校でさぁ、しかも外国人のクラスだし――でも、日本人がいてくれて良かったよぉ――」
1年インターナショナルクラス――。
生徒数――22名――。
内、日本人は2名――。
2年、3年と同クラスは存在するが、ぐっと生徒数は減少する――。
「わからない事があったら、私に何でも聞いて下さいね――基本、皆いい人達ですが、日本人同士仲良くして下さいね――」
黒く長い髪を、後ろで一本に束ね、ポニーテールとは異なる凛とした佇まいと、りおんの不安を包み、安心へと変換する淑やかな眼差し――。
「私も、りおんさんが来てくれて心強いです――」
柔らかな笑顔が、りおんの心の硬直を解いてゆく――。
「何でも聞いて――」
鏡花先生には悪いが、その「態度」でりおんを否定しているかの様なリンスロットに色々頼るのは、気が引ける――。