ロストダイレクトから数年後――新たな研究施設において「初期ロット」の魔法少女が「完成」した――。


新しいポーターを与えられ、ダークエネルギーを壊滅してゆく魔法少女達――。


魔法元老院も「軟化」した――ただ脅して強制的に支配する行為を改め、その存在を尊重し、名誉と「果実」を与える――。


果実とはつまり――カネである――。




ダイレクトの「娘」は世代を重ね、魔法少女の量産は安定期へと移行する――。






めざましく進化した医療技術――様々な病から身を守るワクチン、医薬品――。


それらには微量の魔法遺伝子が含まれている――。


現在この事実を知るのは、医薬品企業に資本を投入し、支配する魔法評議院であり、魔法監理局であり、魔法少女を輩出した国の政府である――。


魔法遺伝子はその名の通り、あらゆる人間に無害であり、女性――すなわち少女にしか効力を示さない――勿論、ここまで「無害化」になるまでに「些細」な犠牲は伴う――。


薬やワクチンの成分表示に「存在」せず、他の成分に巧妙に混ぜられ、検知される事なく我々の体内に容易く侵入する――。


血液、唾液、尿、細胞――健康の為、私達は「盲目的」に医療機関に自らの一部を提供する――。


この世界に不可侵な「聖域」はない――。


魔法評議院の「黒い」ネットワークは、毛細血管の様に広がり、社会に取り憑く――。