「い、いやぁステッキさん、話が生々しいよ――」


「何を言っているりおん――いわゆる設定、世界観の肉付けだ――ただでさえネタだの何だのとおちゃらけてたからな――」


「うーん、わたし大人の事情の話をされても多分、ちんぷんかんぷんだよ――」


「ま、まぁとりあえず真実を知っていて損はない――りおんは主人公だからな――」


「はいはい、わかりました――聞きますよ――聞くけど、色々こねくりまわし過ぎて、設定疲れしない様にね――――っていうかもうリンスが主人公でいいんじやない――」


「りおーーん、あまりに自虐的過ぎるぞ――もっと自信を持て――」


何故かりおんの入浴中に「こっそり」侵入したステッキさんの唐突な「真実」の開示に、りおんは少し投げやりな想いを滲ませた躰を湯船に沈め、口で泡をたてながら「真剣」に話を聞き続ける――。




「ではりおん――人類の最大の発見と発明は、何だと思う――」


「ぶぁーかぁーんぶぁーいーー――」


湯気で曇った眼鏡のレンズに構う事なく「真剣」に考えたりおんの答えが泡立つ――。




答えは何か――。


いわゆる「偉人」達による技術革新でもたらされた豊かな暮らし――。


呪縛化された貨幣制度――。


それらであって、それらではない――。




人類最大の発見は――。




魔法鉱石との「邂逅」である――。