「概ね予定通りだな――」


「これで日本政府も少しは大人しくなるだろう――」


「だが、この隙をついてアメリカ勢が何やら下らん画策を企てているが――」


「好きにさせておけばいい――それより、彼女のポーターは評議院預かりになるのではなかったのか――」




「諸君、各国がどう足掻こうが情勢など変わらんよ――ポーターの件はエレノアから報告を受け、私が了承した――」


「色々虚言を重ね、私を出し抜いたつもりだろうが――全く困った娘だ――」


ドワイトが、各評議院の言葉を総括し、エレノアの「子供染みた」りおんに対する恩情をぞんざいに扱い、棄て言った――。


失笑が漂う空間――。


「彼らは何もわかってはいないのだよ――ダークエネルギーとは何か――その本質を――」


「偽りの主導権争いに興じ、真実を見ようともしない――何とも嘆かわしいではないか、諸君――」


永久暖炉から産まれる炎達が、ドワイトの言葉に「共鳴」し、妖しく揺れる――。


「彼らも程なく気づくだろう――我々の想いと覚悟を――」




「我が娘のエレノアとリンスロットには、ロナール家の完全復権と評議院に逆らう輩の排除に役立ってもらおうではないか諸君――」


「その為に、君の世迷い言につきあっているのだよ――ダイレクト――」


ドワイトは、更に声を低くして背後の湿った暗闇に佇む人物に視線を流す――。


愚かしい人間を弄ぶかの様に、薄い笑みを浮かべ、その人物の瞳は虹色に発光し、柔らかい躰の輪郭を一瞬、垣間見せた――。