気を失いそうになるのを堪えるりおん――。
何処にも存在しない「果実」の香りを魂から漂わすエレノアに暫しりおんは甘える――。
これが、大人の女――完璧なる人間、魔法少女の完成形――。
「私は、完璧な人間ではありませんよ――」
りおんの思いを、躰から読み取ったエレノアの声は自身を責め、罰する――。
「りおんさんも、私の真実を知れば、私を殺そうとするかもしれません――」
「何を言っているんですか、エレノア先生――」
理解不能なエレノアの言動に「快楽」は遮断され、りおんの躰は「大人」の躰を拒む――。
少し残念そうなエレノアの表情――巧みに使い分ければ、大半の男など「手玉にとる」事も可能な躰と心を有しているのに、彼女はそうする意思がない様にりおんには見える――。
あざとく使え――とは言わないが「適量」を守れば「幸せ」を手に入れる事だって容易い筈――。
しかし、エレノアはそうしない――あえて「不遇」な女を「演出」し、持てる「能力」を封印する――。
緩く「適当」に生きて来たりおんでさえ、辿り着く結論――。
宝の持ち腐れ――。
今のエレノアに一番相応しい言葉なのかもしれない――。