これら、制服の色は固定される――。


つまり、パッションアメジストの3年生が卒業すると、新1年生が「紫」を継承してゆく――。


わかりやすく解けば、早くも推薦優先枠を確定したと噂されるエリザベスがパッションアメジストを――シフォンはノーブルエメラルド――りおんがブラッドルビーを継ぐ事になる――あくまでも、皇女に入学するという仮定の話だが――。


個々の色には、伝承や逸話、恋愛に纏わる物語、お定まりの「都市伝説」が絡み合い、離れた敷地に「華麗」に佇む皇女の神秘性を昇華させる――。


故に、中等部の女子の7割が、推薦優先枠を争い、戦いに敗れても、一般受験生達との「熾烈」な選抜競争に身を投じてゆく――。


何故ゆえに、少女達の「魂」を惹き憑けるのかは――不明である――。




「どっちぃ、ペイする、しないぃ――」


「あっ、払います――」


マリカに圧倒され、考える時間もなくりおんは意思を示す――。


「ポーターちゃん出して――」


言われるまま、りおんは鞄から奴を取り出す――。


「えっとぉ――」


「紹介が遅れました――わたしのポーター、ステッキさんです――」


「ステッキ――――さん――」


「パネぇ、パネぇっすりおんちゃん――ステッキさんだって――むふふ、むふふふふっ――」