「魔法少女年金が、未納だよ――」


「年金って、国民年金とかじゃなくてですか――」


「ぷっ、ぷぷっ――それってマジなアンサーバックって感じぃ、ポーターちゃんからぬぁーんにも聞いてないって感じぃ――ウケるぅーー超ウケるんですけど――」


「す、すいません――」


何も説明しない「奴」が隠れている鞄に一瞬、鋭い視線を飛ばし、ただただ平謝りのりおん――。


「別にぃ、年金払うか払わないかはフリーダムって感じだからぁ、ぶっちゃけどっちでもマリカはいいんだけどぉ、ウザッティーな監理局がるっせーしぃ、リアルに鏡花っちからお願いされたからぁ、マジだっりぃけどぉ、皇女(おうじょ)からわざわざ私カミーングって感じっしょっ――」


皇女――皇華月女子高等学院の通称である――。


シンプルだが、可憐さと色香を巧妙に融合させた「憧れ」の制服――。


マリカが動き、言葉を弾き出す度に、日の光にあてられた通称ノーブルエメラルドの緑が陰影を生み出し、絶えず変容する――。


2年生のマリカが緑――3年生が、パッションアメジストと呼ばれる紫――1年生は、ブラッドルビーと称される赤の制服をそれぞれ着用する――。