「はい皆さんチョリーーンすっ――」


夏休みが終わり、始業式後――。


つかの間の「自由」を味わった少女達の残り香が燻る思念と、これから始まる二学期という「拘束」が醸し出す憂鬱感が混じり合う「灰色」な空気を、勢い良く引き戸を開けて蹴散らし、彼女はインターナショナルクラスに弾ける躰で侵入する――。


その言葉遣いを承認する金色に染めた髪をツインテールで「武装」し、校則違反の境界線を行き来する綱渡り的な着こなしとメイクを施し、根拠なき「自信」溢れる眼差し――。


中等部とは明らかに異なる制服――。


「マリカっち――」


すかさずキャサリンが声をかける――。


「んぁ、キャサリンちゃんチョゥィーーンっす、おっつぅーー、ゲロゲロみたいな――」


互いに手を上げ、勢い良くハイタッチを決める――。


「リンスロットちゃん、おっつぅーーっ――」


「どうも――」


マリカのノリに「エコ」な対応のリンスロット――。


同じ「波長」のマリカとキャサリン――。


同調しないマリカとリンスロット――。


「いつもながら、クールでキャッチーでイージーだよねぇ――」


達観と意味不明な言葉を織り混ぜ、教室内を進むマリカ――。