某国――。


某都市――。


魔法評議院――グランドロッジ――。


時が止まった様な調度品やアンティーク家具に囲まれた部屋――。


主の如く君臨する「永久暖炉」から産まれる炎が妖しく揺らめき、重厚な空間を、ふわりと暖める――。


永久暖炉を半円形に5脚の「威厳的」な椅子が配され囲み、この世のものとも「疑わしい」炎を楽しみながら、男達が言葉を交わす――。




「失礼します――」


独り、女という「異物」が、重い木製のドアを開け「男社会」に侵入した――。


「何だ――」


永久暖炉の正面に座る男が、憎しみにも似た低い声色と女を吹き飛ばす勢いの声量で言った――。


「はい――出発の御挨拶に――」


何処か後ろめたい声質で、決してこちらを振り向かない男の背中に女は告げた――。


「あぁ、今日出発か――」


そんな事に関心などない――と如実に現れる男の想い――。


「お話し中のところ、申し訳ありません――」


想いに潰された女は反射的に少し頭を下げ、言わなくてもいい言葉を紡いだ――。


滑る様な艶やかな長い髪が垂れ下がり、瞬間、輝きを失う――。