欧州カルテットには、彼女達にのしかかる呪縛めいた重圧――キャサリン、ドロシーにはアメリカ合衆国という、唯一無二の大国であらねばならない「大義」が躰、心に、ねっとりと憑く――。


強要するのは、少女達の戦いに、表層的な「称賛」を浴びせ、威信と名誉を横取りする者達――。




「皆さん、帰還して下さい――残った流星群の件は監理局が処理します――」


「お疲れ様でした――」


鏡花が、記憶消去魔法の発動を滲ませ、魔法少女、ポーター達を労った――。


次々と、地球へ降下してゆく魔法少女――。


キャサリン、ドロシーが――エリザベス、シフォンが――そして欧州カルテットが還ってゆく――。




「わたし達も還ろうか、ひばり――」


「えぇ――」


彼女達が戦った「世界」は、いつもの寂しく、暗く、寒い空間に、少しの余韻も残さずに還った――。




「夥しい流星群、突然の飛来――」


「流星群、綺麗だったね――」


「流星群――そんなの落下したかな――」


「流星群――」


「――――」


記憶、いや「真実」が消える過程――。


新たな「真実」に上書きされた日常も、夏休みがあっという間に過ぎ去り、二学期が始まろうとしている――。


あれから、ダークエネルギーの襲来はない――。