「スーパーイリュージョンスラッシュ弾、発射ーっ――」
「はいっ、ダークエネルギー壊滅ぅ――状況終了っ――」
「大気圏突入耐火シールド展開、降下開始ぃ――」
「ふうぅっ――ただいまぁーっ――魔法少女モード終了っ、変身解除ぉ――」
僅か、10分程の、「簡単」なお仕事――。
部屋に帰り、変身を解くや否や、ステッキさんに構わず部屋着を脱ぎ、クローゼットに収容していない衣装ケース達を探り、下着を取り替え、新たな部屋着を纏い、古い部屋着と下着は投げ捨て状態で、りおんはマットレスに身を投げ毛布にくるまる――。
「り、りおん――今日は深夜ラジオがある日じゃ――」
「今日は、つ、か、れ、たからもう寝るね――」
「朝シャワー浴びたいから、6時に起こして――あぁそれと、何故か周到に用意された転入先の制服が、何処かにしまってあるから、用意しておいてね――」
「わ、わかった――」
「じゃあ、おやすみ――」
ずっとステッキさんに背中を向けるりおん――その姿を、月の光が妖しく、恐ろしく浮かび上がらせている――。
りおんの事態を鑑みれば、ステッキさんが言い訳じみた戯れ言を言う環境ではない――。
しばらく、静かな時間の流れが続く――。
時が、次の時を刻む、過去と未来が交差する隙間を突いて、りおんが言う――。
「監理局の人に言っておいて――」
「りおんを、嘗めんなよ!――」