「皆さん、ダークエネルギーの接近が二方向から観測されました――」
鏡花が、自らの授業の冒頭に感情を控え、言った――。
いつも、ダークエネルギーの襲来が「ひとつ」とは限らない――。
二方向――聞き慣れないその言葉に少女達の瞳は研ぎ澄まされ、鏡花を見つめる――。
「全員に監理局から出撃要請がありました――」
重みを増す鏡花の声色――。
冬服から、夏服へ変わり、アンテロッティが「宣言通り」制服をアレンジし、りおんも何処かふっ切れた様に他の魔法少女同様に幾度か「適当」に「お仕事」をこなし、そろそろ夏休みにカレンダーが差し掛かる日本の夏――。
ここは、亜熱帯地帯なの――りおんとひばり以外の少女達は、想像とかけ離れた日本の暑さに早くもへばる――。
「じめじめ、ベタベタと気持ち悪いですわ――」
尖るリンスロット――。
「ぐずぐず天気のロンドンこまっしゃくれお嬢様は、ご注文が多いですねぇ――」
キャサリンが、嫌味を飛ばす――。
「これからが本番ですよ――」
『あうぅぅっ――』
ひばりがはにかみ言うと、クラスが沈む――。