パシッーー
乾いた音が頭上で響き、それに反応するように私は前を向いた。
すると、会長と私の間を隔てるように人が立っているのが見える。
しかもその人は…
「なお、と…」
そう、直人がそこには居た。
何故だか、会長の腕を掴んでいる直人が…
あれ?直人は図書室で待ってるはず…だよね?
それに…どうして生徒会長の腕なんて掴んで…?
「すんません。こいつウブなんで…『そういう事』しないで貰えます?」
疑問ばかりが浮かぶ私の耳に直人の声が入ってくる。
敬語で喋っているにも関わらず、その低い声色に背筋がゾワリとした。
私の位置からじゃ直人の顔は見れなくて、どんな視線を会長に浴びせているのかは分からない…
だけど、漂う空気の重さだけは…肌を通してピリピリと感じられた。