その言葉を聞くと、パァッと花が咲いたように嬉しそうな顔になる花音。
その表情を見て直人は顔を綻ばせ、私はそれを陰ながらニヤニヤと見守っていた。
えぇ、端から見ればどう考えても私が怪しい人ですよね。スミマセンね、ホントに。
そのあと昼食を食べ終えてからは、花音とどのフレーバーを頼むかなどで盛り上がった。
そして放課後。
教室で待つのも手持ちぶさただったので、私と直人は図書室で二人を待つことに。
お互い気に入った本を見つけて読んでいる時、私はある事に気が付いた。
勘違いだったらと思い一度鞄の中を確認してみるが、やっぱり目的の物はない。
「ごめん。ちょっと教室に忘れ物したから取ってくるね?すぐ戻るから」
「分かった」
直人は少し頷くと、また本へ意識を集中させた。
ちょっとは気にかけなさいっての!
…んじゃまあ、ちゃっちゃと取りに行ってくるか!
私は図書室を出ると足早に自分のクラスへと足を向けた。