そういえば、隆兄と話すのは告白して以来かもしれない。


普通に接してくれているのは隆兄の優しさなんだろうなぁ…



「眞中は昔から頭良かったもんな!俺なんて学生の時は悪戦苦闘してたもんだ」


「うーん。そうだったっけ?」



知ってたよ、そんなの。


大変な思いしてまで…体育の先生になりたかったんだよね?


真っ直ぐで一生懸命な姿に…恋、してたんだから。


そのニカッて笑う顔。好きだったなぁ…



「おっ、もうそろそろ授業はじまるな。じゃあ今日の体育の時間に!」


「うん。またね」



腕にはめた時計を見て時間を確認すると、ひらひらと手を振って先生は去っていった。


ふと花音を見ると、辛そうな表情でこっちを見つめている。



「なんて顔してんだか…大丈夫だよ」



花音の肩をポンと軽く叩くと、私は言い切った。


そう、大丈夫。


このまま…思い出にしてしまえる。