とはいっても私自身もこのことに長い間気付かなかった。


自覚するきっかけになったのは、この町に越してきてしばらくした頃…


あの時は三人のことを『大和くん』とか『花音ちゃん』って呼んでた。


新しい環境にもだいぶ慣れてきたかなという時期で…




「藤堂くんってさ、大人びてるっていうか…クールだよね!」



中学二年。季節はもう秋から冬へと移ろぎはじめた時のこと。


休み時間に花音と一緒にクラスの子と談笑していると、その中のひとりが唐突にそう言った。



「確かに~。なんか落ち着いてるって感じ?」


「うんうん!ミステリアスな雰囲気もあるし」



周りの子たちもそれに賛同する。


そして大和や他の男子と喋っている直人を見つめていた。


何人かはその瞳に熱を帯びながら…



「んー、まぁあいつは昔っから何考えてんのか分かんない奴だったからなぁ…」



苦笑いを浮かべながらも、花音もみんなと同じ気持ちのようで…