「きっかけ?話さなかったっけ」
「言われてませんけど…」
大抵は愚痴とか反省とか愚痴を聞いてる位で…
「そうだった?んー、まぁそうだなぁ…俺ってさ。万能じゃん?」
「…へ?」
何を言い出すんだ、こいつは!
そんなの…聞かなくても分かってんでしょうがっ!
直人の質問の意図が分からず、思わず私は眉をひそめる。
「昔から、何でも出来ちゃう分だけ…周りの嫉妬や羨望の視線がスゴくて。なんつーか、特別視?しかされてなかった」
一見平然と話しているように見える直人。
だけど苦しいんだなってのが分かっちゃうんだよね…
直人の瞳を見ただけで…辛いって気持ちが伝わってくる。
フラッシュバックする生徒会長や周囲の人たちが直人をみる視線…
小さい頃からそれが絶えず続いていたんだと思うと、胸がズキリと痛くなった。
自分のことじゃないのにさ…
直人に言ったら『偽善者』って言われちゃうかも。