「大和…」
見知った顔を目で捉えると、途端に私は安堵した。
傍にいてくれる。
それだけで視界が広まったように感じる。
「こいつ、俺のツレなんだけど。何か用?」
まるで地を這うような低い声。
鋭い眼光が二人を睨み付ける。
掴んでいる腕はギリリと音を立てて、見るだけでも痛そう…
どちらの顔も引きつっていて、さっきよりも血色の悪そうな色をしている。
「や…大和?そろそろ腕…離してあげて?」
このままいくと折れちゃいそうだし!
私の声にハッとしたのか、大和は腕から手を離した。
「散れ」
また二人を睨んで大和がそう言うと、二人組は唾を返すように走っていった。
そりゃ怖いもんね…
見てるだけの私でもヒヤヒヤしたもん。