えーと、花音はオレンジで…大和はサイダーでしょ?
あと直人はアイスティー…
売店に向かう道すがら、三人の分も買っていこうと好みのドリンクを指折り数えて思い返す。
ザクザクと砂浜を歩くと、サンダルの隙間から入り込む砂…
それがじわりと足裏に暑さを覚えた。
夏を感じさせる…そんな暑さ。
振り返ると小さいけど、でもはっきりと海には三人がいるのが私の目に写った。
「片想い…かぁ」
思わず口をついて出た言葉。
花音も、大和も、直人も……
それぞれに好きな人がいて。
だけど…その好きな人も想いを寄せている相手がいる。
それでも諦めずに自分に素直でいるのって、とても強いことだなって思う。
フラれて自己完結した私なんかよりよっぽど凄い。
「あっ!さっきの黒ビキニの女の子じゃーん」
止まっていた足を売店へと再び進めていると、同い年くらいの男子二人が私の方へ寄ってきた。