「やぁ藤堂くん。いきなりどうしたんだい?一体…何を言ってるのか」
私同様に、突如現れた直人に戸惑っているんだろう。
そう思っていた。会長の目を見るまでは…
しかも、その目付きの意味を…私は知っている。
彼に対しての『妬み』が込められている目だということを…
もう幾度となく見てきた光景だ。見間違えるはずがない。
私の中で確信が生まれると同時に、疑問も生まれた。
会長は三年の中で毎回トップの成績を誇っている。
それにスポーツだってお手の物。
顔だってとっても整っていらっしゃる正しく完璧人間なのだ!
なのに、似ている境遇の会長でさえも…直人にそんな目を向けるの?
「先輩の噂、聞きましたよ?例えば…生徒会室での秘め事、とか」
掴んでいた腕を離しながら、直人はまるでからかうような口調で話をする。
私には、会話の内容がさっぱりなんですけど…
「意味が、分からないね…」
返す言葉とは裏腹に、涼しいポーカーフェイスを崩した会長は眉をひそめて直人から視線を逸らした。