いつだって君は嘘をつく











これが、2度目の嘘だった。



これを嘘とよんでいいのか…



これは、裏切りになるのか、



分からない領域だった…………



この時から、千沙には変化が起きていた。





千沙の脳には、人を信じれば裏切られると認識するようになった。



人の脳に一回嫌なことなどが焼き付けば、それは恐怖として認識される。



千沙の脳はまさしくそれだった。




















零夜が来ると嘘を言ってから2週間後を過ぎた水曜日、突然零夜が病院に来た。



零「俺と幼馴染やめてくんない?」



零夜の突然の言葉に一瞬言葉を失った。



千「なっ、何で?」



零「彼女の麗華が、俺に幼馴染がいるのか?って話になって千沙と幼馴染だって言ったら縁を切ってって言ったから。」



千「……、彼女に縁を切れって言われたからって、はいそうですか!って簡単に言わないでよ!」



零「は?俺は、お前なんかより麗華が好きなんだよ。歩けないお前と居たら、遊園地とか行けねぇーとか嫌だし。」



千「…っ。そーだね。今まで、幼馴染で居てくれてありがとう。」



零「…あぁ。じゃぁな。」





私は零夜が病室を出て行った後、涙が枯れるまで静かに泣いた。




















これが、3度目の嘘だった。



私達が小さい頃は、大きくなったら結婚しようね!や、一生幼馴染でいようね!とか言っていたのに…



結婚なんて、しなくていい。



ただ、隣りに、そばにいて欲しかった。



一生幼馴染でいようねっていったのに…



一生、、、永遠なんてないのに…



始まりがあれば必ず終わりは来る。



私達の幼馴染でいられた時間は物心が付いた時から今日までだった。



そう、それだけだ。



でも、もういい。



だって、私の人生ももう直ぐ終わるから。





















今度は、、、私が嘘をつく。




幼馴染をやめて3日後、零夜からまたもや突然電話がかかってきた。



零「あっ、千沙?突然悪りぃな。」



電話の始めの言葉は、いつも。あっ、千沙?から始まる。



零「なぁ、聞いてる?」



おっと、いけないけない。



千「聞いてるよ。要件は何?」



零「お前って、いつ………」



千「いつ?何なのよ!」



私はこの時、何を聞かれるか大体は想像していた。



多分、零「「いつ死ぬの?」」



やっぱり、当たった。





















千「まだ、死なないわよ!笑。医者に聞いたら1年は余裕で生きれるってっ…」



自分で言って泣きそうになる。



零「死にそうになる前に電話しろ。最後にあってやるから。じゃぁな。」



っ……。今日は、零夜から電話を切ってくれてよかったかもしれない。



だって、最後の最後に泣いてる所を聞かれたくないじゃない?



零夜には、1年は余裕で生きれるって言ったけど実際はもう限界。




最後に電話をくれてありがとう。




そして、嘘を付いてごめんなさい。




















その日に千沙は息を引き取った。



誰にも見守られず、一人で死んでいった。



家族。両親には早速千沙が亡くなったことを知らされたが、両親は泣くどころか笑っていた。



事故の前はあんなに仲が良かった家族なのに、どうして変わったのだろう…



その次の日、零夜と零夜の家族に千沙が亡くなったことを知らされた。



知らされた夜。リビングでは、こんな会話がされていた。



零父「千沙ちゃんは、千沙ちゃんの親に殺されたんだ!!」



零夜の両親は、取り乱れていた。



零母「私達が早く、千沙ちゃんを引き取っていたら…。まだ、千沙ちゃんは生きていたかもしれないね………」



ーバンッ



零夜が、リビング入ってきた




















零「なぁ。今のどう言うことだよ!」



零母「聞いていたの…」



零「あぁ。」



零父「そこに座れ。今から、ちゃんと説明するから……」



(零父は警察官です。by.作者)

零父「千沙ちゃんの事故は、可笑しい点が幾つかあったから調べたんだ。そしたら、故意に引き起こされたものだった。
零「はっ?それって!」いいから、最後まで聞け。その事故を引き起きした人物が、千沙ちゃんの両親だったんだ。そして、千沙ちゃんは頭が痛いと親に訴えていたらしくて、一回病院に連れて行ったそうだ。そしたら、異常はなかったから市販の頭痛薬を飲ませていたらしい。その時はまだ、腫瘍はなかったんだ。以上のことから、千沙ちゃんは両親に殺されたもんだってことだ。」



零「えっ、はっ?俺から見ても千沙の家族はあんなに仲良かったじゃん!」




















零母「実際は、違ったの。千沙ちゃんは虐待まではいかないけれど、千沙ちゃんに会う度に幾つか痣が増えてあった。だから、聞いたんだけれど千沙ちゃんは転けたとかしか言わなかった。痣も薄かったし私は受け流してしまった…。あの時、気付いてあげてれば………」



零「何それ…。俺、何にも知らねぇ。」



零母「……っ当たり前よ!好きな人にそんなにベラベラ言えるわけないでしょ!」



零「はっ?好きな人って何だよ。」



零母「千沙ちゃんは、零夜のことが好きだったんだよ?何?あんなに分かりやすかったのに気付いてなかったの?」



零「あぁ。」



零母「千沙ちゃんは、零夜に彼女が出来たことが悔しかったはずなのに。何も、何も言わなかった。今なら、千沙ちゃんの気持ちが少し分かる気がする。千沙ちゃんは、もう直ぐ死ぬ自分より零夜の幸せを……願ったのよ。」




















零父「零夜。お前は、千沙ちゃんに嘘を、裏切ったらしいな。病院の看護師から聞いた話だが、ここ数日お見舞いに行ってなかったのは何故だ。そして、千沙ちゃんと幼馴染を辞めるって言ったらしいじゃないか。」



零母「千沙ちゃんには、頼れる人がもう、零夜しか居なかったのよ…………」



零「俺は、俺は何も知らなかった。まず、千沙はまだ1年は余裕で生きれるって言ってたんだ。」



零父「知らなかった?知ろうと思えば、いつでも知れたはずだろ?俺達より、千沙ちゃんと永く一緒にいたのは、誰でもない。お前だろ!あと、千沙ちゃんの生きられる時間は、事故が起きてから1ヶ月保つか保たないかだった。」



俺はそんなにも頼りなかったか?あの時、幼馴染を辞めるなんて言わなければ…。毎週金曜日に必ずお見舞いに行っていれば…。俺が千沙に嘘をついたから、最後の最後に千沙は俺に嘘をついたのか?もう、訳が変わらねぇよ。



零父「俺達は、お前と永澤麗華の交際を絶対に認めないからな。千沙ちゃんの気持ちを踏みにじったんだから、一生をかけて……と言いたいが、俺達も同罪だ。だから、俺達三人で毎年千沙ちゃんのお墓参りに行こう。」



零母「そうね。」



零「あぁ。」