「………ってかビスチェってそんなエロい?」
「ビスチェ?」
「こういう肩紐がなくて、おへそに届くくらい丈の長いブラっての?なんか洋服っぽくて、普通のブラのがエロいと思うけど」
今日は肩が丸出しになるオフショルのブラウスなんて着てたから、下着はビスチェを選んだ。
洋服からブラの肩紐が丸見えになってても全然気にしないってコもいるけど、あたしはそういうのがすごくだらしないっていうか、かっこわるく見えるから。
だから昔よくババアに連れて行かれたインポートもののランジェリーショップで買った、ショップの中でもわりとレースが控えめで、色も服に透けにくいピーチ色のこの下着を今日は身に着けていた。
「……つか。おまえのソレ、全然上げ底じゃねぇじゃん」
「よく見てるね」
「………そこ突っ込むな。たまたま見たってことにしとけ。……つぅか女のサイズとかって意味わかんねぇな。あやうくおまえ貧乳だってダマされるとこだった」
「………普段は、胸ちっちゃく見えるブラしてっから」
べつに正直に白状しなくてもいいことなのに、はずかしさでいっぱいになってて、さらに自分からもっとはずかしくなるようなことを言ってしまっていた。
「………は?あえて小さく見せる?そんなモンあんのかよ」
「ある。いつも学校にはそういうタイプのしか着けてかないし」
「てかさらっとおまえ、世の中の女、敵に回すようなこと言ったよな、今。普通逆だろ、すこしでもデカく見せようとするもんだろ」
「おっきすぎんの、コンプレックスなひともいるから」
じゃぶじゃぶじゃぶ。
なんか気恥ずかしさみたいなものを隠すために、わざと大きな音を立てて下着を洗った。幸い下着にはゲロはかかってなかったみたいで、あとは軽くすすげば終わりだ。