「役得って……?」
「………わざとじゃないからな。汚れモンの中に混ざってるとか、すっかり忘れてて」


そういって渚が顔を逸らしながら、水場に置きっぱなしのバケツを指差す。近づいてその中を覗き込んでみると、そこにはあたしの脱いだ下着が突っ込んであった。

ピーチピンクに白レースのビスチェに、同じデザインのパンツ。


この脱け殻がふたつとも渚の目にモロに触れたのかと思うと、ぶわっと一気に恥ずかしさがこみ上げてくる。



「………さすがにソレまで平気な顔して洗ってやるとか、そこまで煩悩捨てられてねぇから。……置いてある洗剤使って、ソレは自分でやってくれよ。軽く洗ったら、あとは洗濯機で脱水かけるから」

「………うん」


あたしが返事をすると渚はすぐに背中を向けた。見られてるわけじゃないけど、渚がすぐ傍にいる状況で自分のパンツとか洗うのはなんかすごく恥ずかしい。

あたしも背中を向けて水場に屈みこんだ。



「………なんか……ほんと、いろいろごめん……」

「つかさ。ビビらせんなっての。……おまえ前見たときはババアみたいなすっげぇダセェの着てたのに。いきなりそんなエロいの出てきてマジビビッたわ」



置いてあったバケツに水を落として、そこに洗剤を適当に振り入れて、じゃぶじゃぶ上下に洗う。



「………ってか悪ぃ。今のおまえにこんなネタ、無神経だったな」
「べつに。平気だよ」


強がりじゃなくて、渚とこういう話するのは、不思議と嫌悪感がなかった。でもそのかわりに、なんか気恥ずかしくてたまらないけど。